ラダー型ポートフォリオとダンベル型ポートフォリオってなに?

資産運用として積立投資信託で債券のインデックス型投資信託や、終身保険などの生命保険を利用している人もいるのではないでしょうか。忙しい方にとっては手間をかけずに運用され、比較的身近な商品で使い勝手が良いかもしれません。しかし、投資信託は信託報酬がかかり、生命保険では付加保険料として見えないコストがかかっており、債券に直接投資した時よりも余分なコストを負担することになります。
では、現物の債券に投資しつつ、これらの商品のような運用を行うにはどうしたらいいでしょうか。
あまり聞いたことがない手法かもしれませんが、「ラダー型ポートフォリオ」や、「ダンベル型ポートフォリオ」といったバイアンドホールドの手法があります。では、これらの手法はどういったものか見ていきましょう。
ラダー型ポートフォリオとは
パッシブ運用の代表的な手法のひとつで、債券のポートフォリオを構築する際に、短期債から長期債まで、残存期間の異なる債券に、ほぼ同額ずつ投資するポートフォリオのことをいいます。
運用期間中に組入債券の償還を迎えると、一定のルールに従って、それにより発生した償還金(キャッシュフロー)を再び最長期債へ投資し、常に均等な組入比率が維持される仕組みになっています。
保有している債券の満期までの期間の構成と投資額をグラフにするとハシゴを横にしたような形状をしていることからラダー型ポートフォリオと呼ばれています。

ラダー型ポートフォリオの特長
▶ 償還毎にその時点の最長期債に投資し、原則的に償還まで持ち切るため、金利予測をする必要がない
▶ 売買の回数が少ないため、低コストである
▶短期債も保有しているため、流動性に富む
▶常にその時点の長期債に再投資されるため、ポートフォリオ全体の利回りも相対的に高くなる
といった点が挙げられます。
一般に運用戦略において、ラダー型ポートフォリオは、日々のポートフォリオ管理が容易であり、特に金利動向の行方が不透明な状況において有効な手法と言えます。その一方で、債券相場が好調な場合でも、運用に制約があるため、積極的な収益を目指すことができないといった弱点(欠点)があります。
ダンベル型ポートフォリオとは
ラダー型はポートフォリオは、短期債から長期債まで、ほぼ同額ずつ投資するのに対し、ダンベル型ポートフォリオは、中期債を持たず短期債と長期債に投資し、常に短期債と長期債の組入比率を維持する運用方法です。保有している債券の満期までの期間の構成と投資額をグラフにするとダンベルのような形状をしていることからダンベル型ポートフォリオまたは、バーベル型ポートフォリオと呼ばれています。
ダンベル型ポートフォリオの特長
▶ 短期債のもつ高い流動性と長期債のもつ高い収益性を併せて追求することができる
▶ 先行きの金利予測に応じて保有割合を変化させることによってより高い収益性を狙うことができる
といった点が挙られます。
ただ、ポートフォリオ構成を常に見直していくことが困難な点や、リバランスに伴うコストが高くなる、利回り曲線のスティープ化に弱い等の欠点もあります。
こうした債券ポートフォリオを活用することで、流動性と利回りを確保でき、投資信託などを利用するのに対してコストを抑えることができます。また、通貨を分散させれば外債インデックスファンド
のように一つの通貨にリスクが集中する懸念も減ります。
しかし、こうした債券のポートフォリオを組むにはある程度の資金と手間がかかります。また、2016年から証券税制も変更され、債券の償還差益と売却益も申告分離課税(譲渡所得)で20.315%(復興所得税含む)課税されるようになり、税制面でのメリットはなくなりました。
最近ではインデックス型投資信託も信託報酬はかなり低くなってきており、ネット証券ではノーロードの商品も多くなってきていますので、まとまった資金のない方は、少額からできる積立投信でのポートフォリを組むことをおすすめします。
【例】
▶ ニッセイアセットマネジメントのインデックスシリーズ
・ ニッセイ国内債券インデックスファンド/ノーロード/信託報酬年0.1728%/信託財産留保額なし
・ ニッセイ外国債券インデックスファンド/ノーロード/信託報酬年0.2268%/信託財産留保額なし
▶ 三井住友アセットマネジメント
・三井住友・日本債券インデックス・ファンド/ノーロード/信託報酬年0.1728%/信託財産留保額なし
・三井住友・DC外国債券インデックスファンド/ノーロード/信託報酬年0.2268%/信託財産留保額なし(2016年2月26日以降)
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