一時払終身保険の保険料の決まり方

日本銀行の金融政策によるマイナス金利導入から、銀行預金の金利や住宅ローン金利などにも影響が出てきています。長期金利もマイナスになるなど、主に国債で運用させている生命保険商品も予定利率の引き下げや、販売停止になるなどの影響がでてきています。
今回は、銀行でも貯蓄性商品として販売されている「一時払終身保険」の保険料の決まり方についてみていきたいと思います。
一時払終身保険の保険料の内訳
『生命保険の予定利率は銀行の金利とどう違うの?』でもお伝えしましたが、契約者が支払う保険料は、「予定死亡率」「予定事業費率」「予定利率」の3つの「予定率」(あらかじめ予定した基礎率)で計算されています。詳しくはこちらをご参照ください。
一時払終身保険の標準利率の決まり方
保険料の計算で「予定利率」は国の定める「標準利率」をもとに、生命保険各社が独自に決めていますが、標準利率の決定方法は以下の通りです。
2014年6月に標準利率の設定方法が変更され、これまでは保険種類によらず一律の標準利率が設定されていましたが、一時払保険について新たな標準利率設定方法が導入され市場金利との連動性が高められました。
【基準日】
毎年1月1日、4月1日、7月1日、10月1日(年4回)を基準日として変更の要否を判定する。
【基準利率の算出】
① 対象利率
10年国債流通利回りと20年国債流通利回りの平均値を用いる。
② 観察期間
過去3カ月平均と過去1年平均のうち低いほうを用いる。
③ 安全率係数
上記②で得られた数値を下記に従って区分し、安全率係数を乗じて得られた数値を合計した数値を基準利率とする。
0~1%部分は0.9、1~2%部分は0.75、2~4%部分は0.5、4~6%部分は0.25、6%~部分は0.25
【標準利率の設定】
① 変更の要否判定
上記で得られた基準利率を現在の標準利率と比較して、0.25%以上乖離しているときに標準利率の変更を行う。
② 新しい標準利率
基準利率に最も近い0.25%の整数倍の利率を新しい標準利率とする。
③ 適用開始日
基準日の3ヵ月後の新契約から適用する。
このように決まった標準利率をもとに予定利率を決めています。
2月26日16時13分の10年国債の利回りは-0.07%、20年国債の利回りは0.55%となっています。今後、この状況が続けばさらなる予定利率の引き下げによる保険料の値上げや、販売停止の可能性は予想できます。