ドル円相場のサイクルと季節性
昨年はアメリカ大統領選挙が行われ、トランプ大統領が誕生しました。マーケットは、トランプ政権の減税政策や公共事業政策などの政策が期待され株式市場は上がり、ドル円相場は、円安方向に動きました。メディアでも昨年末からの相場をトランプ相場と称し取り上げてきました。
外貨投資をしている方、投資信託や変額保険を通して海外資産に投資している方、また直接、海外の株式や債券、不動産に投資している方にとっては気になる話題ではないでしょうか。特に為替相場は海外資産に投資する際、また海外資産を売却し現金化する際にはとても重要になります。
また、皆様の中にはこれから始めようと思っている方、興味はあるけど、いつ始めようか迷われている方もいることと思います。
今回はそんな、海外資産を持つ上で切っても切り離せない「ドル円相場」の動きについて、相場サイクルと季節性という観点から見ていきたいと思います。
ドル円相場の8年サイクルと5年サイクル
景気は好況・景気の山・不況・景気の谷と景気循環がありますが、為替レートもこの景気にされる面があります。景気が過熱してきた国では金利が引き上げられ、金利の高い通貨を求めお金が流入し通貨高になります。逆に景気が悪くなると金利が引き下げられ、高い金利の通貨を求めお金が流出し、通貨安になります。ドル円の関係もこの景気循環や中央銀行の金融政策に合わせるような形で変動をしていきます。
ドル円相場では約8年ごとに円安ドル高の高値をつける8年サイクルがあると言われています。また、約5年ごとに円高ドル安の安値をつける5年サイクルがあると言われてます。ドル円相場は2007年に高値をつけ2015年にまた高値を付けました。直近の安値は2011-12年です。このサイクルからすると、2016-17年頃に円高相場がくると予想されます。こうしたサイクル説が市場関係者の意識にあれば、これからは円高になりそうだから今のうちにドルを売って円にしようといた売買が多くなっていきます。
為替相場は、景気や金利動向、需給の関係など様々な要因が複雑に絡み合って相場を形成していますが、こうしたサイクルも意識され売買が行われていることも知っておく必要があります。
ドル円相場の季節性

アベノミクスで円安に、この円安はトランプ相場など、メディアは相場の動きをその時の話題性で伝えていますが、為替相場はそんなに単純ではありません。
例えば、為替変動は、一般の企業が海外で取引する際の現地通貨の調達や、決算の為に外貨を日本円に交換するときなどでも大量の通貨の売買が発生しています。その企業の動きでも相場が形成されています。右のグラフは2016年のドル円相場と過去10年のドル円相場の1年間の動きを表したグラフです。過去10年の動きを見てみると10月頃から年末にかけて円安ドル高になっていることがわかります。
日本の企業は円建てで決済をするために主にスワップ取引を用いてドル円の交換を決算に合わせて行っているため、毎年こうした動きになるとも考えられます。昨年末にあったトランプ相場も毎年の動きに重なっただけなのかもしれません。
こうした季節性から考えると今年も3月頃から10月頃までは円高ドル安傾向の動きになるであろうと予想されます。
為替取引をする際は季節性も要因のひとつにあるのだと頭の中に入れておきましょう。